演劇人にインタビュー 頭を下げれば大丈夫 intvw.netからURLを変更しました

土田 英生

劇作家。演出家。俳優

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腐らなければ大丈夫

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いいたします。最近土田さんは、どんな感じでしょうか。
土田 
今はちょうど、MONO『裸に勾玉』 の準備中なので、その事が頭の中をほぼ占めています。でもまあ、そりゃ個人的にもいろいろありますからね。人生にだって悩んだりはしています。
__ 
色々ありますからね。
土田 
色々あります。でも、昔のように全面的に落ち込む事は無いんです。困ったことすらも俯瞰して、「そういう事もあるなあ」と思うようにしています。
__ 
ありがとうございます。私もやはり、年齢が年齢なので(34歳)、小さいことぐらいは乗り越えて生きていきたいですね。
土田 
自分が腐らなければ問題は解決していきますからね。
__ 
そうですね!いえ私も、大学生の頃はずっと落ち込んでいたんです。大学のカウンセリングを利用したりして自分の悩みを打ち明けたら少し変わったりしましたが。
土田 
なんかおかしな展開になってますね。まるでカウンセリングのような……ま、いいや、続けますね。あの、悩んだ時は、問題を意識化することが必要なんです。原因が分かれば対処が出来るようになりますから。
__ 
自分の悩みを了解するという事ですね。
土田 
はい。僕は芝居を書いているから、書きながら自分の悩みが分かったりする。それが、割と自分のカウンセリングになってます。
__ 
自分で自分をカウンセリング。実は私、最近日記を書いているんですよ。悩みを書いていると、何かが整理されていく気がするんですよね。
土田 
確かにね。頭で考えるより、書いた方がいいですよね。文字にすると現実にコミットメントするから効果は大きい。たとえば、懸賞アンケートクイズとかで、商品名の一文字だけ◯で空けてあるのあるでしょう? あれ、なんであんな簡単なクイズなんだろって思うけど、大事な事は文字で書かせて商品名を刷り込むことなんですね。書くだけで刻まれちゃう。それに応募した人達は、次からその商品を意識しちゃうんです。だからね、日記を書く時も、良い事を書くといいですよ。「明日はきっといいことが起きる」ってね。
__ 
ええ、書けるかな。今はネガティブな事ばかり書いているんです。
土田 
無理のない範囲でいいよ。……やっぱり、これ全然インタビューになってないですよね? ……とにかく、明るい事とか、共感する気持ちだとか、書くと無意識に入っていくようになるんですよ。
MONO

京都を拠点に活動する劇団。(公式サイトより)

MONO『裸に勾玉』

MONO初の時代劇 "弥生時代"を舞台に描く"現在"の物語− 私たちは……誰に優しくしたらいいんだろう? ここは狗奴(くな)の国 邪馬台国との戦さに備え なんだか周囲は殺伐としている そんな中、ある集落のはずれに 間抜けな三兄弟を中心にした家族が住んでいた 彼らはとても愉快に暮らしている ある日、不思議な男が紛れ込む 追っ手から逃げてきたらしい 「うわ、早く追い出さないと 」 「あいつは仲間じゃないんだから」 「……だけどあの人、泣いてたよ」 弥生時代を舞台にした“現在”のお話 私たちは……誰に優しくしたらいいんだろう? 作・演出:土田英生 出演 水沼 健 奥村泰彦 尾方宣久 金替康博 土田英生 山本麻貴 もたい陽子 高橋明日香 松原由希子 東京公演:シアタートラム 2016年3月5日~13日 名古屋公演:愛知芸術劇場 小ホール 2016年3月19日~20日 大阪公演:ABCホール 2016年3月23日~27日

どうして人は人を分けたがるんだろう?

__ 
私はMONOの作品に宿る優しい視線が好きです。一つのシチュエーションを内包する社会情勢に広く視座を置きつつ、そこにいる人が行動を起こす勇気を優しく見守っていると思うんです。前作の『ぶた草の庭』のクライマックスでは水沼さんが、命の危険を冒して危険な屋外に出て行く。その決断だって、自分自身を見つめて、自分の弱さと折り合ったり、乗り越えてのやっとの行動なんですよね。
土田 
ええ。
__ 
そういう表現を誠実に続けていたから、だからMONOはずっと支持されてきた。きっと。MONOの登場人物達の自己省察は、実は現在の社会が求めている活動なんじゃないかと思うんです。社会全体が大人しくなった気がしています。でも、社会派と呼ばれるのは、ご自身としては違うと仰っていたんですよね。
土田 
自分達が社会派ではないというのは、簡単に定義されたくないってだけなんです。人ってカテゴライズしたがるじゃない。僕はカテゴライズされるのがすごく嫌で。僕にだって色々な面があるからね。
__ 
例えば。
土田 
元々お笑いが好きなのでバカバカしい事もしたい。元々は喜劇をやりたいんです。だけど、今、社会が殺伐として来てて、段々と表現の自由が圧迫されてきてる。だから『ぶた草の庭』も、結果としてああなった。ベースはいつも喜劇なんです。だから常に面白くなるように書いているつもりなんだけど、どうしても怒りみたいな物も出てきてしまうんです。

僕がやりたい事

__ 
ところで、そうした事情は、昔と違いますか?
土田 
昔も同じように書いていたと思いますよ。でも、ある時期、やたら三谷幸喜さんの事を聞かれたりしたんです。目指しているんですか、って。
__ 
カテゴライズされていたんですね。
土田 
後藤ひろひと君とかは遊気舍で不条理な笑いをやっててとても支持されていた。でも当時の関西には、例えばシチュエーションがあって、ズレや会話で笑わせるというのはあまり無かったんです。三谷さんは素晴らしいと思います。でも僕がやりたいのは少し違う。なんというか、その辺で、ちょっと反発してた部分はあったかも知れませんね。

敵か味方か、そんな単純な話じゃないのに

__ 
人が人を理解する為の「カテゴライズ」。それはもちろん、みんながある一人に対してそれほどズレなくやっている事ですよね。だからどうしても、認識や対応とかを「合わせる」のが発生し、つまり協調性が、同調性になり、そこには圧力が生まれる。ありますよね、同調圧力。会社で働いているとどうしても。私は定時になった瞬間、どうしても感じてしまうんです。周囲の目を。「自分はこのチームの一員なんだから、みんなが帰る空気になるまで帰ってはいけないんだ」、と思う度に心が軋むんですよ、どうしたら・・・。
土田 
(インタビュアーの)印象を言わせてもらうと、人とのコミュニケーションはそれほど得意な人じゃないんだろうなと思ってたんですよ、でも芝居している人にもそういう人は多いからね。でも芝居を創るにはどうしても協調性というのは必要なんです。だから合せる必要はある。でもね、僕は、大きな枠組みだけを共有して、その中での個々は違ってていい。それが認められる社会であって欲しいとは思う。
__ 
私もそう思います。
土田 
例えば、僕は戸籍が日本にあって、日本のパスポートを使うし、だから「日本人と規定をされる事は嫌でもなんでもない。ただ、そんな僕が「日本ってうっとうしいよね」と話してたりすると、「日本嫌いなんですか、土田さん」って。いや待て待て、そんな単純な話じゃないよ。イギリス留学から戻って来て、イギリスの良い所を話してたら「イギリスの方が好きなんですか?」って。イギリスにも日本にも好きな部分、嫌な部分はある。皆が同じように考えなければいけないとか、踏み絵を踏まされるような、そんな今の世の中はとても怖いんですよね。
__ 
何で攻撃しちゃうんでしょうね。
土田 
例えば何か有名人の不倫報道があったら、もう総攻撃でしょう。「気持ちは分かるよね」とか言ったら叩かれる。でも、気持ちくらい想像すれば分かるじゃないですか。不倫は良くないけれど、まるでイジメのような社会ですよね。最近、どんどん息苦しくなっていっていると思います。
__ 
ネットで「まずい事」を言った人を探して槍玉に上げて、責める、みたいな振る舞いが当たり前のように広く存在している。
土田 
芝居でいつも書こうと思っているのは、簡単に敵味方に分けるな、という事なんですよね。やっぱり違う立場の人に対して、想像して共感する力が弱まっている気がします。テロリストに拘束された日本人ジャーナリストに「自己責任だ」とか。その人だって危ないのを分かって行っている。戦争を無くしたいという思いがあって、ジャーナリストとして真実を伝えようとしている。そういう人もいるから社会は厚みを持つ訳でしょ。私たちだってその恩恵を受けている。ネットというのは極端なので、あれが社会の総意だとは思わないけれど、怖いですよね。ストレスのはけ口みたいで。だから、どんなに楽しい芝居を作っていても、そういう事が頭をよぎります。今回、創ってる芝居も、そういうお話なんですよね。

抜かされても石なんか

__ 
そうですね、ネット上で、みんなで何がしかの不祥事をあげつらうという変なレジャーが定着しちゃいましたね。そして不祥事という言葉自体、誰にとって祥ではないのかという。不倫程度はほっとけよと思うんですよね。
土田 
CMに出ていた人が不倫騒動を起こしたら、スポンサーさんが怒るのは分かるんですよ。でも世間が怒っているのが分からない。
__ 
何故攻撃をするんでしょうね。
土田 
それはもう、弱いものいじめ。これはやっぱり経済の問題も大きくて。日本のGDPが中国に抜かれるって大騒ぎしていた時期、僕はいいじゃないかと思っていた。そもそもあんなに人口が違うんだから、簡単に比べられないでしょう。でもあの大騒ぎは、日本が経済大国という事で自分を支えていたアイデンティティが崩壊して行く、つまり自分が攻撃されたみたいに感じてしまったんでしょうね。個々の人生が充実していたら、そこまで国に自分をアイデンティファイすることもないんだと思うんですけどね。いじめられっ子がもっと弱い奴を探していじめる。どこかで、歯を食いしばって止める奴がいないと。自分は辛くても、人を攻撃するのはやめて。
__ 
人に抜かされて、不安だから攻撃する。
土田 
演劇をやっている若い人に、どういうポジションに行ったらいいのか? みたいな相談を受けるんですよ。もちろん僕だって20代の頃はこうなりたいとか思ったり、人と比べてコンプレックスを抱いたりしましたが、それは間違っている事だと分かってはいたんです。もちろん悩みましたけどね。でも、自分の創りたいものを、モチベーションを失わずに創ることだけが大事なんだと必死で言い聞かせていました。で、MONOで作品を創っていたら、その結果が自然と仕事につながり、TVや映画の脚本を書かせてもらったりした。そうなろうとした訳じゃなくてね。だから、あんまり、“演劇村”の中での地位とか、小劇場スゴロクみたいなものは考えて欲しくないですね。そういう風な競争になると、ライバルが自分を追い抜いていく駒のように思えてしまって、その人を恨むようになっちゃう。
__ 
そうですね。
土田 
コンプレックスはね、いい方向に使わないとダメですよね。いい意味での切磋琢磨だったらいいんですよ。昔、別役実さんが、劇作家協会の集まりについて「人集りの試み」と言ったんですね。人が集まるだけで力が生まれるって。京都もアトリエ劇研がなくなったりするけど、やっぱり演劇人が集まる場所や機会がもっと増えればいいですよね。

役者の動き方

__ 
MONOに出演される役者には、どんな仕事を求めますか?
土田 
役の内側の事に入り込むことはあまり言わないかも知れません。演出の時は、どう見えるかだけを問題にします。間を詰めてくれとか、そこは早く喋ってくれとか、奥に立ってて欲しいとか、とか。役者にはそれぞれ動いたり台詞を言う理由があると思うけど、それは役者がつなげてくれればいい。観客にどう映るのかを判断するのが演出の仕事だと思ってます。だから自分でつなげて動いてくれる人が良いですね。音楽と一緒で、芝居は戯曲という譜面があって、演出家という指揮者がいて。役者は演奏をしているんです。だからまずはきちんとメロディは演奏しないとダメなんです。演劇だけですよ、勝手に個性を出して喋っちゃって、それに味があるなんて言ってるのは。いや、もちろん個性は必要だけど、それは出すものじゃなくて出るものだから。
__ 
では、本番では?ある劇団は「全て必ず稽古通りやれ」、またある劇団は「基本は稽古通りだけど、本番で出てきたものが面白いと思ったらそっちに行っても良い、ぐらいの柔軟さで」と、本番直前に指示されるそうですが。
土田 
難しいですね……。ズルい言い方ですけど両方ありますよね。基本的には稽古通りです。お客さんが笑ってくれたりして、引きずられて行ったりするのはイヤです。笑いは必要ない部分もありますし。ただ、ライブとしては楽しまないといけない。だからノリは変わりますよね。本番期間は毎日、細かい修正を続けています。
__ 
そうですね、ライブですよね、演劇は。
土田 
頭の片隅でお客さんとレスポンスを交わし合っているような感じです。ライブならではのうねりが、やっぱりあるんですね。例えば声のトーンを少し上げたりだとか、そういうこと。稽古をしたときのラインは守りつつ、お客さんを感じながら、ライブならではの高揚を感じる。
__ 
心のどこかでお客さんを感じる。
土田 
落語とかだってそうですよね、お客さんの反応を見て調子を少し変える。芝居も同じ。でも、それぐらいのことです。アドリブは一切認めてないですね。

27年、MONO

__ 
ご自身にとってのMONOとは、どんな存在、どんな場所ですか?
土田 
創りたいものが創れる場所。スタートでありゴールという両義的な存在ですね。劇団があってこそ他の仕事が出来るし、外の仕事で得たものも劇団に持って帰れるし。
__ 
基本でありゴールでもある。
土田 
新しい事をやる場所で、かつ成果を見せられる場所ですね。27年やってますからね。
__ 
松原由希子さんが生まれる前ですからね。
土田 
松原さんもよく言ってます、「生まれる前からやってるんですよねー」。同じく出演者の高橋明日香さんとMONOは同い年ですね、だいたい。

質問 岩田 奈々さんから 土田 英生さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、岩田奈々さんから質問をいただいてきております。「何をしている時に一番幸せを感じますか?」
土田 
決まったものはないです。その時の興味によって変わります。急に絵が描きたいと思ったら絵ばっかり書くし、レザークラフトをと思ったらしばらく革ばっかり。その時に興味あることを熱中してやっている間は幸せです。元々オタク気質なんですよね。社交性のあるオタク。
__ 
そうなんですね。今は何に凝っていますか?
土田 
今はね、写真。初めて一眼レフを買ったんですよ。撮るのって楽しいじゃないですか。まあ、これもすぐ飽きると思いますけど。
__ 
あ、そうなんですか。
土田 
はい。飽きたら、また絵に行って、革に戻って、DIYをやって、また写真に戻って。10個ぐらいの趣味をぐるぐる回るんです。
__ 
私も色々趣味はあるんですけど、どれか一つを極めたいと思いながらも、究極的なところにはなかなか……。
土田 
それでいいと思ってます。受験の時なんかでも、僕は参考書を買うと、最初の10Pぐらいをやって、飽きて次の参考書を買ってた。最後までやらないと身につかないよと言いますけど、最初の10ページを一生懸命やったら、その分の知識はつくんですよ。イギリス留学前の英語の勉強も、そんな感じでした。3週間ぐらいで本をを替えると新鮮なままやれる。もうこれ、自分の性格を熟知しているからね。飽き性であることに悩むこともないです。あ……だけど、MONOはやってますからね、ずっと。MONOと演劇だけですね、飽きずに続けてるのは。

これからのお仕事

__ 
今後、どんな仕事をしていかれたいですか?
土田 
MONOはこれからも続けていくと思いますけど、今後は自分で仕事を作っていかないとなあと思ってます。今までは仕事を待っている状態だったんですね。でも、年齢が上になっていくとそれだけじゃダメなんです。テレビなんかでも一緒にやっていたプロデューサーは管理職になっちゃう。で、現場の若いプロデューサーさんは年上の脚本家じゃなく、更に若い人を求めて行く。だから、待つんじゃなくて、自分でコンテンツを作っていくというようなやり方をしていきたいと思っています。
__ 
というと。
土田 
実は、今までお話を頂いていながらも、やっていなかった仕事があるんですね。例えば書き下ろしの小説を書いてください、とか。だけど日々の忙しさにかまけて中々書けなかったんです。でも、今は自分でコツコツ書いてます。ドラマも企画から立てようと。それを持ち込む。そういう風に、能動的な仕事の仕方をしないとダメだと考えてます。
__ 
そうしたお仕事、拝見出来たら嬉しいです。やりたいと思った事が出来たらそれが一番良いですよね。
土田 
やりたいなと思ったらやってみる。それがすぐお金にならなくても、次の仕事につながったりすすんですよね。
__ 
良いものを作っても売れないけど、お客さんにとって買いやすいものを作れば売れる。売りやすいものは何だろう。土田さんの作品は楽しくて優しくて、でも媚びていない。どこかハードボイルドなんだと思うんです。だから、広い層から求められやすいと思うんですよ、私は。
土田 
いやあ、本当に売れる商品は僕には作れない。例えば小林賢太郎君。彼なんか見てると凄くうまくブランディングしていますよね。作品創りの才能はもちろんだけど、マーケットにどう訴えるかまで分かってる気がする。彼ともそういうことは話すんだけど、観客がね、小林賢太郎を好きである自分を好きになれる、そういう、魅力が彼の活動にはある。そういう能力は僕には全くない。正直に言うと、MONOの作品にはもっと観客が入ってもいいと心の中では思ってます。だけど、爆発的にお客さんが増えるということはなかった。でも逆に、減ってもいないんです、MONOは。関西はお客さんが入らなくなったと聞くけど、この15年くらいはコンスタントに毎回1000人以上は来てくれる。まあ、今のところは、ですけど。それでいいとは思ってるんですけどね。
__ 
ブランディングの話ですが、個人的なエアポケットに入ってくれれば、お客さんはその劇団にはずっと固定で見に来てくれると信じています。人の体験に入り込むみたいなのは、鑑賞体験を分解出来る演劇というメディアでこそやれると思うんですよ。例えば大劇場で、ちょっとした細かい仕草にすら精度が求められるんですよ。特に会話劇なんて。そういう事をやっている人にですね、もっと目を向けられるようにしたいと個人的には思っています。

モチベーションを保つ

__ 
ご自身に何を求めますか?
土田 
常にもっと面白いことをやりたりという、モチベーションを保つ事。これが一番ですね。これが下がっていっちゃったら終わりだと思うので。
__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか。
土田 
どの方向に行くかはわからないですけど、現状維持ではなく、興味が湧いたことをやります。特別、何かを変えようとは思ってないんですけどね。まあ、自分が演劇に興味を持ち続けていられるようにはしておきたいです。

久遠チョコレートの詰め合わせ

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。つまらないものですが・・・
土田 
ありがとうございます。何だか立派な箱なんだけど・・・
__ 
どうぞ、ビリビリに破っていただいて。
土田 
いいの? そんなヨーロッパ人みたいなプレゼントのもらい方して。(開ける)あ、いいですね。うわあ、女子だねえ。
__ 
チョコレートです。
土田 
僕は趣味がわりと女子っていわれるんです。おいしそう。
__ 
もし宜しければみなさんでどうぞ。
土田 
はい。独り占めはせず、稽古場に持っていきます。
(インタビュー終了)