小野村 優
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小野村 優

ダンサー。女優。MC。振付。英会話の先生。通訳。翻訳

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えーびーがた「地球ロックンロード」

___ 
今日はどうぞよろしくお願いします。パフォーマーの小野村優さんにお話を伺います。最近小野村さんはどんな感じでしょうか。
小野村 
よろしくお願いします。最近はもっぱら、えーびーがたの稽古ですね。ちょうど1ヶ月前なので。
___ 
3月14日(木)が初日で、公演は日曜日までですね。稽古はどんな感じでしょうか。
小野村 
まきゃ(真壁愛さん)がしっかり準備をしてきてくれているから、全体的にいいペースだと思うんですけど、私が自分の役をまだつかめていなくて。でも、面白くなる予感というのはみんながずっと持っていて。不安を抱えず、やるべきことをやっていこう、という雰囲気です。意見やアドバイスが終始飛び交い、とてもアクティブです。
___ 
お客さんは、役者の悩んだ形跡とかは結構感じると思いますよ。だからきっと無駄ではないと思います。
小野村 
なんかこう、今悩んでることとかが全部ちゃんと面白いことにつながれば何でもいいなと思っていて。色々取り組んでいます。
___ 
演技には色々な選択肢があるわけじゃないですか。声のトーンの調節であるとか、どこでブレスをするかとか、ここでどんな想念を持つか、とか。お客さんに理解を委ねるかそれとも説明してしまうかとか。やっぱり舞台だと、観客席と演技を共有・同期しているので、お客さん側にもパフォーマンスについてのイニシアティブが握られてるんですよね。だから逆に言うと、役者が悩んだ分、お客さんには解釈しがいのある演技が出来るんじゃないかと思っています。
小野村 
私の役は「うづき」と言って、30×30で上演した「ちゃりんこベイベー」と同じ名前なんです。でもその時と全く違う人間というわけじゃないんだろうけど全く別物だと思った方がいいのかな。「ちゃりんこベイベー」は30分間だけの彼女を切り取れば良かったんですけど、今回はそういうわけにはいかないので。試行錯誤しています。まきゃが過ごしてきた高校生活がベースの、半分フィクション、半分ノンフィクションという作品なんです。私はその世界の中で過ごしてきたわけじゃないから、「うづき」がどんな子なのか全く分かっていないんですよ、多分。
___ 
それは・・・おいそれとは何も言えないですね。
小野村 
でも本当に一つのきっかけで変わるということを知ってるんです。早くそれに出会えるように試したり聞いたり。多分、「うづき」と私の違い、もしくは共通点は何かということをつかめたらいいんじゃないかと思って。
___ 
つまり今、小野村さんは役作りの渦の中にいるということですね。
小野村 
もう自分で自分のことが分からないぐらいテンパってるから、そうかもしれないと思いながら聞いていました。でもこういう、分からん!みたいな事とかも発信してもいいんじゃないかなと。いいんちゃう、って先輩方にも言っていただいて。
___ 
挑んでますね。
小野村 
私個人としては凄くチャレンジな役ですね。絶対楽しくなるはずなんですよ。楽しいと思うためにも、今苦しんだり、準備して稽古しています。刹那的じゃないですか、四日間しか本番の期間がないなんて。お客さんに楽しんでもらうために、今苦しもうという感じですね。
___ 
苦しむって悪いことじゃないですもんね。頭ん中でずっと難しい計算をしていて、ストップモーションじゃないですけど、何かを生み出そうとしている人はそれだけで見応えがあると思います。
小野村 
その時何も進んでいないわけじゃないですからね。
___ 
絶対に進んでいますよね。
小野村 
楽しいばっかりでは全然ないですけど、自分たちで公演を打つというのはこういうことなんだなあと思います。すごくたくさんの人にお力添えを頂いていますが、今までは客演として演劇に関わっていることが多かったんですけど、公演を作るって大変で、作品のことだけ考えていればいいというわけじゃないし。
應典院舞台芸術祭SDN2018参加 えーびーがた 初本公演『地球ロックンロード』

期間:2019/03/14 (木) 〜 2019/03/17 (日)
劇場:
浄土宗應典院 本堂
出演:小野村優、真壁愛、浅雛拓、福田恵(劇団レトルト内閣)、片岡百萬両(片岡自動車工業)
脚本・演出:真壁愛
料金(1枚あたり):2,300円 〜 2,800円
【発売日】2019/01/15
早割:2500円
前売・当日:2800円
應典院寺町倶楽部:2300円(要証明)
公演日時:
3月14日(木) 19:30
3月15日(金) 19:30
3月16日(土) 13:00/18:00
3月17日(日) 13:00
スタッフ:
【舞台監督】今井康平(CQ)
【音響】八木進(baghdad cafe)
【照明】海老澤美幸
【舞台美術】青野守浩
【スチール】booyon
【宣伝美術】片岡百萬両(103studio)
【映像撮影】ワルタン
【制作】鈴木ありさ(尾崎商店)
【総合プロデューサー】片岡百萬両
【演出部】飯伏裕理
【動画素材】はちろ ゆき(BANZAI FILMS)

【企画・製作】えーびーがた

縁と道と

___ 
小野村さんが舞台を始めたのはいつからですか?
小野村 
何だろうな、一番の元をたどれば幼稚園の頃からピアノをやってて、その発表会が人前に出る機会でした。幼稚園のお遊戯会とか全部好きだったんですけど、小学一年生の時に初めてミュージカルを見たんです。子供ミュージカルで、有名どころだとアニーみたいな。そこから舞台への強い憧れを抱き始めて、でもその頃はいっぱい他の習い事をしていて、ダンスや芝居のレッスンには通えなくて。自分で舞台に立つということを決めたのは、高校選びでした。当時は塾に通っていて、進学校に進むかそれともダンス部のある高校に行くか迷っていたんです。でもどうしてもダンス部のある高校に行きたくて、塾の先生や親を説得して。それが本当の原点だと思ってます。
___ 
どんなダンス部だったんですか?
小野村 
部活を立ち上げた昔の先輩たちが作ったダンスが伝統として残っているんです。自分たちでも作品の振り付けはするんですが。
___ 
それはすごいですね。
小野村 
実は卒業した後に、私の祖母がその高校の卒業生だったと言うことを知りました。しかもそのダンス部がちょっと宝塚を意識してたんですよ。祖母がいた年に、宝塚の男役スターみたいなカッコいい女の先生がいたらしくて、放課後にその先生の所に行って一緒にダンスを踊っていたらしいんですよ。それが原点になってその部活が出来たらしいんです。
___ 
お祖母さまがOBどころか創設者だったんですね!
小野村 
そうですね。舞台に立つ原点はダンスですね。元々はミュージカルに憧れてるから、大学を選ぶときに色々迷っていました。私は目標がないと頑張れないんですけど、行きたい大学が決まっていないから受験勉強というものをあまり頑張れていなくて。で、いくつか日本の大学を回ったんですけど惹かれるところがなくて。海外にも憧れがあって、アメリカの大学のことを調べ始めていたんです。向こうの大学って専攻の幅がものすごく広くて。で、最初からコースをあまり決める必要がなく、2年まで一般教養を学び、その間に自分のやりたいことを決めればいいよという感じなんです。当時私は、日本という世界で自分がプレイヤー側で活躍できると思っていなかったんですよ。小劇場という世界があることも知らなかったし、プロになるしか道はないと思っていたから。それならエンタテイメントの裏側を勉強しようと思って、テーマパーク経営学という学科を学ぶために渡米しました。
___ 
おお。
小野村 
そこの、一般教養のコースとは別に自由に選べるクラスの中で、ダンスとか芝居とかのクラスを取っていたんですが、年齢が40代50代の人達やおじいちゃんやおばあちゃんも普通に受講していて、その人たちはただ勉強したいから来てるんですね。本気でハリウッドやブロードウェイを目指している子たちもいて、それに対して「いやいや無理でしょ」、だなんて誰も言わない。本当に自由なんですよ。自由の国アメリカというのはこういうことなんだと思って。じゃあなんで私は、本当にやりたいことに挑戦していないんだろうと思って。そこで、プレイヤーとしての勉強ができる大学をアメリカで探して、転校しました。
___ 
日本とは違う文化風土ですね。
小野村 
日本だと、成功する可能性がある人だけが挑戦出来て、条件的に無理だったら、そもそも自分からそういうチャレンジを辞めてしまう。今はだいぶ変わってきてると思うんですけど、昔は、少なくとも私の周りの世界はそんな空気だったように感じて。私自身がそういう見方をしてしまっていたのかなとも思っていて。12歳くらいにして、勝手に自分でもう遅いと思ってたんですよ。芸能界はもっと子供の頃からずっとやっているから行ける世界なんだ、みたいな思い込みをしてたから。

「役者のためのダンスワークショップ」

___ 
最近のパフォーマーとしてのテーマは何でしょうか。
小野村 
私色々やってるんですけど、例えば「役者のためのダンスワークショップ」の話。なぜあれをやってるかと言うと、小劇場のダンスシーンの入っている作品、あれがなぜ入ってるかわからないことがあるんです。自然に入っている作品もあるんですが、そうでないものもあって。ダンサーではなく役者が振り付けを覚えて、何度か稽古したら終わりだったのかな、みたいな。その役の演技に関しては一挙手一投足を細かくこだわって作っているのに、ダンスに関しては、踊りになった途端にその役者さんそのものに見えてしまったりして。それを見てるのが辛くて。どれだけ技術が追いつかなくても、その役として動くことに意味があると思うんです。そこを知っている演出家も振付師も役者もダンサーも、関西にはあまり多くいないのではないかなと。そこに、凄い微力ながらも、そこを分かっている人が増えていったらいつか変わるんじゃないかなと思って、始めたんです。振り付けをもらった時に、役そのままで踊る技術。役作りと感情をかみ砕いて演技を作るのと同じように、ダンスについても考えることができたら。
___ 
なるほど。
小野村 
それと最近のテーマとしては嘘がないようにしたいです。嘘がないと感じる役者さんの演技は素敵だなと思っています。ダンスワークショップも一緒なんですよね、きっと。
___ 
きっと、舞台の上で役者の都合や欲や、リアルではない反応が出ると嘘と感じられるのかもしれませんね。
小野村 
私個人は一個一個を考えていかないと作り上げられないぐらい、ものすごく不器用なんです。それを感覚や技術で出来てしまう人もたくさんいて。当たり前の事なんですけどね、その役にとって嘘ではないようにしたいんです。めっちゃ芝居って大変、やればやるほど難しい、って思ってます。ダンスみたいにレッスンに通えるスタジオとかもないし。
___ 
あっても少ないですよね。
小野村 
WSとかも行ってみたけど、基礎から積み上げてもらえるわけではないし。だから人となりがそのまま出ちゃうのかな、と思って。そういう意味で言ったらその役者の素の部分を豊かにして行かないといけないなと思っています。自分が見て素敵だなと思う人たちも、きっとそれぐらい豊かだから。その辺りが私にとってのテーマなのかもしれません。

だから・・・

___ 
あえて難しい話題なんですが、そういう役者の魅力が裏目に出てしまうこともあるのではないでしょうか。
小野村 
確かに、そこが難しいところなんですよね。それでも、私がやる必要はないじゃん、にはしたくない。そして今、私が良かれと思ってやっている演技が悪しかれになっていたりする。が、結局やってるのは私だから、きちんと役をつかんで、自分が滲み出たらいいなと思っています。
___ 
何か一つでも確信に至ったら、それはもう通過することなく確信すると思うんですよ。それはもう手放さずにいるべきだと思います。
小野村 
うん、今は全然自信を持てるとこには行けてないと言うか、何もわからないという状態になってしまってるから、なんでも試せることはやろうとしています。めっちゃ迷惑かけてますけどね。まきゃも大変なのに・・・彼女は初の脚本演出ということに全く甘えていなくて。比べるものでもないですけど、ここから勝負して、観たことのないものを作ろうと言う挑戦をしています。私に関しては、誰も何も待ってくれない。
___ 
そうですね、座組の中できっと、小野村さんが悩んでるということは理解して共有してると思います。
小野村 
去年、すごく静かな会話劇に出演させてもらったんです。あまりにも自分の人生にあった経験と似た役どころだったんですけど、何をしてもダメ出しされたんです。どこに原因があるんだろうとずっと悩んでいたんですが、演出家の方が(私の役は病気の婚約者の心配をし続ける女性なんですが)「病気の彼を責めているんではなくて、病気そのものを責めてるんですよ」と。そもそもそこが原点だと気付いた時に、演技が全部変わったし、やることなすこと良い方向になっていったんです。やり方がおかしいというよりは、そもそもの部分が大事なんですよね。
___ 
それが正解だと理解した瞬間のために、今準備してるんですよ。
小野村 
今日この後の稽古でその正解が見つかったらいいんですけどね。毎回、頭がプシューってなって終わるんですけど。
___ 
近道はないですから。
小野村 
はい、だからやってるのかも知れないです。こんなに苦しくてうまくできないことが、まあこれまでもたくさんありましたけども、芝居こそこんなにも自分に合っていない、得意ではないものだと思っていて。だからやってるのかも知れないです。

不安、練習、そして

___ 
カヨコの大発明『園楽』の時の小野村さんのダンス、凄く良かったです。手から星が出てるみたいに感じました。
小野村 
ありがとうございます。山田まさゆきさんが一人で歌ってる時にアドリブで踊ったり、SPEEDとか踊りましたね。
___ 
小野村さんが舞台に立つ時に必要とするものは何ですか?
小野村 
何だろう。練習。私緊張しないんですよ。でも練習不足の時は緊張します。やっぱり不安からですよね。量の問題ではなくて、確実に自分が納得できるところまでやっていないと本番に出れないです。それでも本番に出ないといけない時はどうしてもあって、不安なまま出るんですけど。緊張を無視して出演する事も出来るんですが。
___ 
ええっ、そんなことができるんですか。
小野村 
やっぱりテーマパークダンサーとして1日に何回も本番をしていると、慣れてくるんでしょうね。決して舐めてかかってるわけじゃなくて、程良い緊張感はあるんですけど、1日に何度も舞台裏とステージを行き来していると、普通の状態からふっと舞台に出られる状態になる。ただそれもきっちり稽古して、これだけやったという実感が必要なんですよね。
___ 
稽古が実感になるのはいつからでしょうか。例えば、体に振り付けが完全に落とされたら実感になったりするんですか?
小野村 
ダンスに関して言えば、振りを覚えるのは当然で、その上で見せ方の流れが出来てどの瞬間の自分でも見せられると確信したら実感になります。感情を表現するダンスだとしたら、その感情を作るというところに自信がないとできないし。即興で踊る時とかは、瞬時にアウトプットできるかどうかというところが問われていたので、少し違いましたけどね。最初は無理だと思っても、私なら大丈夫みたいな空自信みたいなので乗り切ることもあります。

質問 伊藤 彩里さんから 小野村 優さんへ

___ 
前回インタビューさせて頂いた方から質問を頂いてきております。gallopの伊藤彩里さんからです。「五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)のうち、どれか一つを超常級にするとしたらどれにしますか?」
小野村 
味覚。
___ 
それは何故?
小野村 
それだけご飯を食べるたびに幸せになれるから・・・こんなアホな答えでいいのかな。ハッピーになれるものはたくさんあった方がいいなと思うんですよね。

ハッピーの条件

___ 
今日のインタビューはそろそろ終わりますが、何かお話になっておきたかったこととかはありますか?
小野村 
今回は私のインタビューだったので、私ベースの見方や個人的な役作りの話しかできてないんですけど、「地球ロックンロード」の世界観は本当に唯一無二だと思っていて。それが具現化するってすごいことだと思うんですよ。まきゃみたいな子って他にいないじゃないですか、あの子が発する言葉とか世界が舞台化するのを楽しみにしてもらいたいです。初作品なんて次元じゃない、見たことがないような個性と熱意のこもった作品なので、是非楽しみに来て欲しいなって思います。そしてぜひ、ご自身の青春を振り返って、懐かしんだり、甘酸っぱくなったり、ちょっと苦しくなったりして欲しい。
___ 
小野村さんの苦悩の結果も含め、楽しみです。小野村さんご自身は今後、どんな感じで。
小野村 
私本当に色々なことをしてるんですけど、MCとか英語とか、ダンス、芝居、でも結局全てが芸事に繋がった時にハッピーなんですよ。自分が舞台から見る景色も好きだけど、反面、客席の後ろから自分が関わった作品を見るのも好きなんです。色々手を出してるのは賛否両論あるかと思うんですけど、その全てがあって私なのかなと思っています。これからも色々な方法で芸事と関わっていきたいなと思っています。フェイズは色々変わるでしょうが、ずっと続けていきたいなと思っています。
___ 
色々なことに関わる、トータルな舞台人であってほしいですね。
小野村 
ありがとうございます。

モンロワールのラヴィアンショコラ

___ 
今日はお話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
小野村 
えっ。ありがとうございます。
___ 
平らにした状態で開けてくださいませ。
小野村 
どういう事・・・(開ける)え、凄い!
___ 
割れてませんか。
小野村 
大丈夫みたいです。めっちゃ可愛い、食べたくない、飾りたい!え、やばい。これ、今日のイヤリングに似てません?
(インタビュー終了)